第1回 離婚と面会交流

国連子どもの権利委員会での仕組みは、日本から状況、問題点を記したレポートを、政府と、民間の団体NGOの両方が国連に提出し、それを国連が審査して日本に勧告を出します。

その民間レポートの一翼をCRC日本は担っています。今回審査に向け、2017年末から3回にわたりレポートを提出しました。

以下は、離婚と親子に関するレポートの執筆者からです。

国連子どもの権利委員会からの共同親権法制化勧告の獲得について

私たちCRC日本(Convention on the Rights of the Child japan)は、別居/離婚と親子のつながりの問題について、2004年1月の第2回審査に向けて以来、取り組んで来ました。当時は養育費問題が主流で、親子の人間的なつながりや接触は見向きもされないような時代でした。それが今回、長年の活動が実を結び、ついに共同親権の勧告を得られたことは、非常に感慨深いです。

 今から約2年前、今回の審査に向けたレポート作成に取り組み始めたときから、共同親権の勧告を得ることを一番の目標としてきました。長年、当事者たちが共同親権を訴え、ハーグ条約に絡む問題で世界から注視され、機は熟していたと思います。

 他にも、私たちがレポートで取り上げた、離婚後の代諾養子縁組の問題に対して、是正勧告が得られたことは大きな成果です。及び、家庭争議における裁判所の命令の法執行の強化も、時として絵に描いた餅になりかねない面会交流の取り決めの強化に、大きくつながるものです。国際的な子の奪取の民事上の側面に関するハーグ条約に関する勧告も出ています。

 反省点として、家庭裁判所の問題が取り上げられていない、たとえば子どもを連れ去った者勝ち等があります。

しかし、共同親権という太い柱は勝ち取りました。これらの勧告をいかに現実のものにしていくか、それは私たちも含め皆さんの肩にかかっています。将来を生きる子どもたちのためにも、日本での法制化を実現させましょう。約3割が離婚する現代社会、一刻も早く共同親権を法制化することが、より多くの子ども達を救うことになると信じています。

2019年2月

国連レポート和文作成:染木辰夫、湯澤由紀子

                     同英訳:岡部裕子